研究資料

2017.11

地域別人口・世帯数予測(2017年度版)―単身世帯化・死亡率低下の影響―

  • エネルギー需要
  • 経済・社会

報告書番号:Y17503

概要

背景

 地域別の人口・世帯数は、電力・エネルギー需要を見通すための基礎資料であり、最新動向を踏まえた機動的な予測が求められる。我が国の最も代表的な予測である国立社会保障・人口問題研究所(以下、社人研)の人口・世帯数予測は、最新の国勢調査を反映して改定されるのが5年毎であり、実績からの乖離の修正に時間がかかる。また、地域の値まで改定されるには国勢調査から数年を要する。そのため、独自のモデルで機動的に予測できることが重要であり、当所では、2015年国勢調査の結果を織り込んだ2035年までの地域別人口・世帯数予測結果を2017年4月に公表した(研究資料Y16502;以下、前回予測と呼ぶ)。しかし、社人研による全国の人口予測が公表(2017年4月)されたことや、人口動態に関する統計から得られる最新動向を受けて、諸元の見通しについての知見を反映し、将来予測値への影響を把握することが求められている。

目的

 地域間人口移動や世帯形態間のシフトを整合的に織り込める当所モデルを用いて、最新の各種統計より得られた動向を反映した地域別人口・世帯数予測を行う。それにより、地域別の電力・エネルギー需要を見通すために必要な基礎情報を提供する。

主な成果

1. 地域別人口予測の改定

(1) 諸元の動向と前提条件の主な変更点
2016年の出生率はそれまでの上昇傾向が鈍化しており、前回予測と同様に今後も概ね横ばいと仮定した。死亡率は低下傾向が見られ、将来値を前回予測よりも下方修正した。さらに、前回予測では考慮していなかった国際人口移動を加味し、外国人人口の増加等を仮定した。
(2) 改定された予測の結果
改定後の予測では2025年の人口が1億2313万人となり、前回予測(1億2205万人)よりも上方修正した。人口のピークアウトは、首都圏で2022年、沖縄県で2026年となり、首都圏については前回予測よりも3年先になったものの、今後、全国的に人口減少局面に入るという傾向は前回同様に確認された。また、 2015~25年の人口減少率は全体として縮小しているが、東北(9.0%減/10年)、四国(8.3%減/10年)などでは依然として大きい。

2. 地域別世帯数予測の改定

(1) 諸元の動向と前提条件の主な変更点
改定後の男女年齢別人口と世帯員率(前回予測の推計結果を利用)から将来の世帯数を予測し、2016・17年の世帯数実績をもとに補正した。実績からは、全国11地域別に分けた世帯数はいずれの地域でも増加していることが確認されており、単身世帯化等の世帯形態変化が、引き続き継続していることが窺える。今後も同様の世帯形態変化が続くと見込み、足下の変化を織り込んで、将来にわたって補正した。
(2) 改定された予測の結果
前回予測では全国の世帯数は2025年に5446万世帯でピークアウトするとの結果が得られていたが、人口の改定と世帯形態変化の織り込みが上方修正要因となり、今回予測では2028年に5523万世帯でピークアウトするとの結果が得られた。ただし、今回の予測でも、北海道、東北、四国などで世帯数のピークアウトが間近と見られ、北関東、北陸、関西、中国、九州などでも今後10年以内にピークアウトが見込まれることには変わりが無い。世帯数変動の鈍化や減少局面への移行は、家庭部門の電力・エネルギー需要にとっては鈍化・減少要因となる。

キーワード

人口、世帯数、電力需要、エネルギー需要、国勢調査

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