電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

C17013

タイトル(和文)

塗装すべき経年鉄塔の選定に役立つ画像処理技術の開発-空撮画像を使った簡易劣化判定のための支援ツールのプロトタイプの開発―

タイトル(英文)

Image Processing Techniques for Selection of Aging Towers to be Painted - Support Tool using an Aerial Image of a Transmission Tower for Decision of Deteriorating Level for the Tower -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
電力会社では鉄塔の寿命延伸のため、膨大な数の鉄塔の中から錆の進行度合いが進んだ鉄塔を選定し防錆塗装を行っている。錆の進行度合いは、昇塔して撮影した鋼材の色味で判定することが多いが、鋼材撮影に時間を要し、その判定が個人の主観に依存するという課題がある。そこで、ヘリ等で空撮した画像を用い、ICTを活用して鉄塔の簡易劣化判定のための支援ツールの開発を進めている。これまでに、空撮画像から鉄塔鋼材抽出の手法を開発した[1] 。本支援ツールの実現に向けた最初のステップとして、鉄塔鋼材抽出の手法を含むプロトタイプを作成し現場適用時の課題を整理する必要がある。
目 的
空撮画像を使った簡易劣化判定のための支援ツールのプロトタイプを作成し、現場適用時の課題を整理する。
主な成果
1.支援ツールのプロトタイプの作成
支援ツールのプロトタイプを作成した(図1)。プロトタイプは、既開発手法を適用して空撮画像から抽出した鉄塔鋼材に対し、画素ごとの色に基づき、SKM1)を用いて、鉄塔鋼材を構成する画素の劣化ランクを判定する。
本プロトタイプを使用することで、鉄塔鋼材の劣化ランク(5ランク)が明らかになっている鉄塔2基の鋼材に対し、表1のように判定結果が得られることを確認した。
2.現場適用時の課題抽出
プロトタイプの現場適用時の課題を整理した(表2)。その結果、電力会社ごとに異なる錆の色と劣化ランクの対応付けが必要なこと、海塩の飛来方向に基づき鉄塔の撮影方向を決定しておくことが必要であることが分かった。また、判定結果の情報提示方法と鉄塔全体の劣化ランクとの対応付け方法を準備しなければ、現場での活用が難しいことが分かった。
今後の展開
有人ヘリに比べ近接で撮影可能なUAV による空撮画像を使い、正答率向上の可能性を調査する。
注1) Support Kernel Machineの略で、機械学習の一つであるSupport Vector Machineを拡張した判定方式である。判定に有効な色を自動選択できる点に特徴がある。

概要 (英文)

We are trying to develop support tool using an aerial image of a transmission tower for decision of deteriorating level for the tower. The support tool judges a deteriorating rank of a tower to which each pixel on the aerial image of the tower belongs. The utilities decide deteriorating level of the tower using the information that the support tool offers. This report presents a prototype tool of the support tool and issues in using the prototype tool at utilities.

報告書年度

2017

発行年月

2018/06

報告者

担当氏名所属

石野 隆一

エネルギーイノベーション創発センター デジタルトランスフォーメーションユニット

須藤 仁

地球工学研究所 流体科学領域

キーワード

和文英文
鉄塔 Tower
再塗装 Rust
Repainting
画像処理 Image Processing
機械学習 Machine Learning
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry