電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

EX21014

タイトル(和文)

促進劣化させた鉄塔用塗装鋼板の劣化評価

タイトル(英文)

Deterioration Evaluation of Painted Steel Sheets for Steel Towers by Accelerated Deterioration Test

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
経年塗装鉄塔の維持管理のためには、塗装の塗替え時期を適切に設定することが重要である。塗替え時期の判断は、現場では主に目視で行われているが、鉄塔の重要度によっては表面に劣化が顕在化する前に定量的に評価する必要がある。当研究所では、交流インピーダンス法により塗装劣化を定量的に評価できる見通しを得た[1]うえで、評価法の現場適用の検討を進めてきた[2-4]。さらに、今後の塗装劣化を予測するためには、インピーダンス測定と劣化度合いを関連付けるデータの拡充が必要であり、多様な塗装仕様に対して短期間で劣化を評価する試験法の確立が求められる。
目  的
鉄塔用塗装鋼板を促進劣化させることにより、劣化度合いと塗装仕様や下地金属との関係を短期間で明らかにする。
主な成果
1.塗装劣化と塗装仕様の関係
鉄塔仕様の塗装を施した亜鉛めっき鋼試験片(PP, A塗装めっき鋼)および炭素鋼試験片(EP, EP-2, PP, EEF, P, A塗装鋼)注1を用いて、促進劣化試験(複合サイクル試験)注2を1000サイクル(8000時間)まで実施し、一定サイクルごとに劣化評価を行った。インピーダンス測定結果に対して、等価回路(図1)を用いてフィッティング解析を行った。得られた塗膜の抵抗Rfの結果(図2)から、塗装の劣化度合いを評価した。塗装めっき鋼および塗装鋼のRfが試験前から3桁以上低下する時点で比較すると、本試験条件において、アクリル変性アルキド樹脂塗料(A)が最も早く劣化し、下塗りにエポキシ樹脂塗料(E)よりもポリウレタン樹脂塗料(P)を用いた方が塗装の劣化が遅いことを示せた。
2.塗装劣化に及ぼす下地金属の影響
PP以外のRfが低下した試験片では、塗膜劣化だけでなく塗膜下の腐食も発生し、表面に1 mm以上の小さな膨れや発錆が確認できた(図3)。ほとんど劣化がなかったPP試験片では、下地金属の腐食がほとんど起こらず亜鉛めっきの影響はないが、A試験片では、下地金属に亜鉛めっきをした方が、炭素鋼の腐食が抑制されたことで塗装表面のさびや膨れは少なく、塗装の劣化が遅いことがわかった。
今後の展開
今後は、促進劣化試験と実環境に近い大気暴露試験で得られた結果を比較することで、促進度合いを評価して、促進劣化試験法を確立する。

概要 (英文)

To decide the repainting time of the paint for steel towers, it is necessary to estimate the paint deterioration by expanding the evaluation data. The painted galvanized steel (2 types) and painted steel (6 types) was deteriorated in a short period by a combined cyclic test (JASO M 609-91). The deterioration degree of these painted specimens before or after the test were evaluated by AC impedance method every 50 cycles. The paint film resistance Rf was obtained by analyzing impedance spectra assuming equivalent circuit of paint state. The Rf of the specimen painted by double-layer (top / under paint) polyurethane resin after 1000 cycles was almost same as that before tests. On the other hand, the specimen painted by single-layer acrylic-modified-alkyd-resin had a considerably lower Rf than that before the test. In the specimen painted by single-layer acrylic-modified-alkyd-resin, it was revealed that the number of rusted spots and blisters on the surface of the painted galvanized steel was less than that on the surface of the painted steel surface by suppressing the corrosion of the base carbon steel. Moreover, it was shown that the paint deterioration of the specimen using the polyurethane resin as the under paint is slower than that of the specimen using the epoxy resin as the paint.

報告書年度

2021

発行年月

2022/06

報告者

担当氏名所属

前田 真利

エネルギートランスフォーメーション研究本部 エネルギー化学研究部門

キーワード

和文英文
塗装鉄塔 Painted steel tower
塗膜劣化 Deterioration of paint film
交流インピーダンス法 AC impedance method
促進劣化試験 Accelerated deterioration test
複合サイクル試験 Combined cyclic test
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