電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

EX23003

タイトル(和文)

ミニチュアC(T)試験片を用いたマスターカーブ法の国産原子炉圧力容器鋼への適用性の検討 -第2報:化学組成の異なる溶接金属3種への適用-

タイトル(英文)

Applicability of Master Curve Method using Miniature C(T) Specimen to Japanese Reactor Pressure Vessel Steels - Second Report: Result of Three Weld Metals with Different Chemical Composition -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
供用中の原子炉圧力容器の健全性を定期的に確認するために監視試験が実施されている。原子炉の運転期間延長に伴って追加で要求される監視試験に対応するために、限りある監視試験片を有効活用することが重要である。現行規格(JEAC4201-2007)で定められたシャルピー衝撃試験による評価の代替技術としてマスターカーブ法(MC法)による破壊靭性評価法がある。MC法の試験片の一つに、試験済み監視試験片から最大8個製作可能な板厚4 mmのミニチュアC(T)試験片があり、監視試験片の有効活用の方策の一つとして期待されている。MC法の試験方法はJEAC4216-2015として規格化されており、監視試験方法を定めたJEAC4201次期改訂版におけるMC法の採用と実機監視試験への適用に向けた議論が進められている。一方で、JEAC4216-2015は原子炉圧力容器の破壊靭性評価法を定めたJEAC4206-2016の中に試験法として引用されているが、令和2年度の原子力規制庁によるJEAC4206-2016に対する技術評価にて、中性子照射された国産原子炉圧力容器鋼の圧延材および溶接金属に対するMC法の適用性を示す実証データが鍛鋼品に比べて少ないとの指摘があった。このことから、産業界の取り組みとして、MC法の実機適用に向けて圧延材および溶接金属に対するMC法の適用性実証データをさらに拡充することとした。中性子照射による材料の破壊靭性の変化は照射前後の差として評価されるため、照射された材料に加え、未照射の材料に対するMC法適用性実証データも拡充が必要である。
目  的
国産原子炉圧力容器と同一の鋼塊と製造法で作製された原子炉圧力容器鋼溶接継手部の未照射溶接金属3種(化学組成の異なる溶接金属A、C、D)を対象にMC法適用性実証データを拡充する。
主な成果
溶接金属A、C、Dに対して1セット15個の試験片を2セットずつ用意し、MC法試験を実施した結果、いずれの試験セットにおいても有効な参照温度T0が得られた。いずれの材料も得られた破壊靭性値はMCの2%および98%信頼限界の範囲内に概ね分布しており、破壊靭性の温度依存性はMCに沿っていると判断した(図1に溶接金属Dの例を示す)。各試験温度に属する破壊靭性データセットについて、破壊靭性分布の統計的特性を示すワイブル指数mを個々に評価した。得られたmは、MC法におけるmの最尤推定値m = 4に対して想定される分布の95%信頼区間の範囲内であった(図2)。溶接金属A、C、Dの破壊靭性の温度依存性や分布はMCに従っており、同材料に対してMC法を適用可能であることを確認した。

概要 (英文)

To satisfy the regulatory requirement for additional surveillance tests of the reactor pressure vessel (RPV) associated with the extension of the reactor operation period, it is important to effectively use the limited number of available surveillance specimens. One of the solutions is the fracture toughness evaluation method based on the Master Curve (MC) method using miniature compact tension (Mini-C(T)) specimens with a thickness of 4 mm as an alternative option for the current Charpy impact test. The MC method has been standardized by JEAC4216 which is planned to be incorporated into JEAC4201 which specifies the surveillance testing procedure for RPV. On the other hand, it is desirable to accumulate the data demonstrating the applicability of the MC method to a plate base metal and a weld metal of irradiated Japanese pressure vessel steels. This study is aimed to accumulate the experimental data for demonstrating the applicability of the MC method to an unirradiated plate base metal and an unirradiated weld metal as companion data for irradiated materials. As a second report, this report shows the results of MC testing on three unirradiated weld metals of Japanese RPV materials. As a result, the valid reference temperatures T0 were successfully obtained for all the weld metals. The temperature dependence of fracture toughness for all materials was generally consistent with the temperature trend curve defined by the MC method. The variation of obtained Weibull exponent m was within the 95% confidence limit of the variation of the previous data base against m = 4 which is a premise of the MC method. These results demonstrate well the applicability of the MC method to the tested weld metals.

報告書年度

2023

発行年月

2024/04

報告者

担当氏名所属

信耕 友樹

エネルギートランスフォーメーション研究本部 材料科学研究部門

豊田 哲也

エネルギートランスフォーメーション研究本部 材料科学研究部門

キーワード

和文英文
マスターカーブ法 Master Curve Method
破壊靭性 Fracture Toughness
原子炉圧力容器鋼 Reactor Pressure Vessel Steel
ミニチュアC(T)試験片 Miniature C(T) Specimen
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry