電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

EX25001

タイトル(和文)

T継手配管の測定困難部位における流れ加速型腐食起因の減肉推定手法の構築

タイトル(英文)

Development of a method for estimating pipe wall thinning due to flow-accelerated corrosion in difficult-to-measure area of tee joint piping

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

【背景】原子力・火力の発電プラントの系統配管で生じる減肉現象の適切な管理は重要であり,特に大規模な配管破口により人災が生じる可能性がある流れ加速型腐食(FAC)には最も注意が必要である.現在,国内の配管減肉は,日本機械学会にて策定された規格(減肉規格)に則って管理されており,主に超音波探傷(UT)を用いた肉厚測定による減肉率・余寿命評価が行われている.配管分岐合流部で主管と枝管が接続する領域に曲率部(クロッチ部)が存在するT継手は,特に配管口径が小さい場合,クロッチ部の曲率半径が小さくUTの測定精度が確保できないことから,当該部が測定困難部位となる場合がある.当所では,このような測定困難部位のより適切な減肉管理に向け,枝管からの流れが主管の流れと混合する「合流体系」におけるT継手クロッチ部の減肉推定手法を構築してきた.一方で,主管から枝管に流れが出て行く「分岐体系」についても減肉推定手法の構築を進め,より幅広い流れパターンに評価対象を拡張していく必要がある.

【目的】T継手のFACによる減肉傾向の評価対象を拡張し,分岐体系を含む全ての流れパターンにおいて,測定困難部位となるクロッチ部の減肉推定手法を構築する.

【主な成果】
1.T継手における減肉傾向(減肉する領域の空間的な分布)の評価
分岐体系において,流動解析および当所の減肉評価モデルによってFACの流動因子である物質移動係数(溶解した鉄イオンの物質移動効果)を減肉量として算出した.その結果,枝管への流入流量の増加に伴って,特にクロッチ部と枝管の側壁部における物質移動係数が相対的に大きくなることが分かった.またクロッチ部の物質移動係数の値は,枝管口径が小さく枝管流速が増加するほど大きくなることが確認された.

2.T継手クロッチ部に対する減肉推定手法の構築
T継手の分岐体系に対して,既存知見と同様にクロッチ部の減肉傾向に基づく増倍係数を評価し,測定可能な主管・枝管部の減肉量の最大値と組み合わせることでクロッチ部の減肉量を推定する手法を構築した.T継手の増倍係数を実機プラントの設計条件(流速比,口径比およびレイノルズ数)により相関式化した結果,両主管から枝管への分岐体系では増倍係数が最大で1.5程度,つまり測定可能部位に比べてクロッチ部の減肉量が1.5倍となり得ることが分かった.本研究により,T継手クロッチ部の減肉傾向を,実機で想定される全ての流れパターンに対して推定する手法を構築した.今後は,実機情報の詳細調査により,構築した推定手法の適用範囲を検討し,測定データとの比較を通じて手法の妥当性を確認の上で,実機減肉管理への適用を図る.

概要 (英文)


報告書年度

2025

発行年月

2025/11

報告者

担当氏名所属

渡辺 瞬

エネルギートランスフォーメーション研究本部 プラントシステム研究部門

森田 良

エネルギートランスフォーメーション研究本部 プラントシステム研究部門

キーワード

和文英文
T継手 Tee joint
配管減肉 Pipe wall thinning
流れ加速型腐食 Flow-accelerated corrosion (FAC)
物質移動係数 Mass transfer coefficient
増倍係数 Multiplication factor
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