電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

GD21031

タイトル(和文)

超高圧CVケーブルの空間電荷測定における過渡温度条件下での信号補正法の開発

タイトル(英文)

Development of Signal Correction Method under Transient Temperature Conditions for Space Charge Measurement of XLPE Cables

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
カーボンニュートラルの実現に向けて再生可能エネルギーの導入が拡大しており,洋上風力発電の適地から需要地までの超高圧直流CVケーブルによる高効率長距離電力輸送が注目されている。直流CVケーブルでは絶縁体内部の空間電荷蓄積現象による絶縁性能低下の可能性が指摘されている。そこで当所では,空間電荷挙動を考慮した直流CVケーブル絶縁性能評価法の確立に向け,パルス静電応力法を適用した定常温度条件下での空間電荷評価法を開発してきた。ここで,実運転中の負荷変動によるケーブルの温度が時間変化する状況,すなわちヒートサイクル付与時の空間電荷測定においては、測定信号から電荷・電界分布への変換過程で温度の時間変化による影響が想定されるものの、その定量的な評価はなされていない。
目  的
直流CVケーブルの運転時を想定した過渡温度条件下でのパルス静電応力法の適用を念頭に,この温度変化が測定信号から空間電荷・電界分布への変換結果に与える影響を明らかにする。これに基づき,ヒートサイクル付与時の過渡温度条件下において測定が可能であることを実証する。
主な成果
1. ケーブル温度が測定信号の空間電荷・電界分布への変換結果へ与える影響の把握
275 kV級交流CVケーブルに対し,常温(5℃)と高温(導体温度 90℃)にて計100時間にわたって空間電荷および参照信号の測定を実施した。常温と高温条件下でそれぞれ最初に得た参照信号を用いて,高温測定開始時の測定信号を空間電荷・電界分布へ変換した。その結果,それぞれの参照信号から得られる電界分布の偏差の標準偏差は2.0 kV/mmで,平均電界(20 kV/mm)の10 %程度に相当し,比較的小さいことがわかった。
2. ヒートサイクル付与時の連続的な電界分布測定の実証
ヒートサイクル付与時に連続的な空間電荷測定を実施して得られた測定信号を,常温で得られた参照信号を用いて電荷・電界分布へ変換した。その結果,ヒートサイクル付与時の温度変化に伴う電界分布変化が得られ,過渡温度条件下における空間電荷測定が可能であることを実証した。
今後の展開
各種温度条件下の空間電荷蓄積現象を解明し,温度による直流CVケーブルの絶縁性能への影響を解明する。

概要 (英文)

This report presents the signal correction method of the pulsed electro-acoustic method for space charge measurement of full-size XLPE cables under transient temperature conditions. A general measurement under steady-state temperature necessitates the reference waveform at the measuring temperature for correction. Unlike the steady-state measurement, the reference waveform at the measuring temperature is unobtainable in transient temperature. Hence, we took an approach to apply the reference waveform measured at the ambient temperature for the signal correction of different temperatures up to 90 degC, which is the maximum conductor temperature of HVDC XLPE cables. For the accurate signal correction, temperature and drift characteristics of the systems impulse response should be considered for this approach. Therefore, we experimentally measured the reference waveforms about every 3 hours for 100 hours under ambient and high-load temperature conditions, even though the 460 kV was applied by means of the lock-in calibration method. As a result, the temperature and drift characteristics were not significant in this series of experiments. Furthermore, we measured signals under the 24-hour load-cycle condition as an example of the measurement under transient temperature. We applied the proposed signal correction and obtained a space charge profile under transient temperature conditions.

報告書年度

2021

発行年月

2022/06

報告者

担当氏名所属

森田 翔亮

グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門

布施 則一

グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門

高橋 俊裕

グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門

穂積 直裕

豊橋技術科学大学

キーワード

和文英文
超高圧直流CVケーブル HVDC XLPE cables
過渡温度条件 Transient temperature conditions
空間電荷測定 Space charge measurement
パルス静電応力法 Pulsed electro-acoustic method
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry