電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

H21001

タイトル(和文)

腐食に対する送電用鉄塔の健全性診断技術 ―腐食量推定手法および検査・診断技術の個別機能と具体例-

タイトル(英文)

Soundness Assessment Technologies for Corrosion in Aged Transmission Towers -Individual Features and the Operation Results of Corrosion Amount Evaluation as well as Inspection and Diagnosis-

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
高度経済成長期に集中的に整備された橋梁などの社会インフラの老朽化が全国的に深刻な問題となっている。一方、電力設備、特に架空送電設備についても、大量に建設された送電用鉄塔が、2020年代には約半数が経年50年を超えることとなり、経年による腐食劣化への対策が一層重要となってきている。このような状況の中、一般送配電事業者および電源開発送変電ネットワーク株式会社では、設備実態や立地環境に応じた維持管理フローを定め、効率的な管理が進められており、保全実務を支援し一層の省力化を実現できる保守点検技術が望まれている。これらを踏まえ、当所では2012年度より腐食劣化の観点に着目して鉄塔の健全性診断技術に関する研究に着手し、腐食量推定手法および検査・診断技術などの個別技術を構築・開発した*1)。
目  的
送電用鉄塔を対象として、腐食に対する保全のために構築・開発した腐食量推定手法および検査・診断技術について、それぞれの技術が有する機能を示すともに、通信用鉄塔などの社会インフラでの当該技術の活用に向けて具体例を提供する。
主な成果
1.腐食に対する健全性評価に資する個別技術の機能
 鉄塔を対象に開発した健全性診断技術の個別機能を図1に示す。腐食量推定手法は、面的に広がりをもって設置されている鉄塔の中から、要点検鉄塔・要点検部位を抽出する機能を有する。開発した検査技術は、抽出した要点検鉄塔・要点検部位の部材の減肉部位・形状の検出および劣化度合い評価を行う機能を、さらに、開発した診断技術としての耐荷力評価法は、部材としての性能(余寿命)を把握する機能を有する。
2.社会インフラでの活用に向けての具体例
・広範囲に建設されたインフラの点検優先度の評価において、個々の腐食計測では広範囲な環境の違いを含めた検討は容易ではない。本腐食量推定手法では、広範囲な環境を計算できる数値解析*2)により、例えば対象エリアの鉄鋼の腐食マップ(図2(a))を作成可能である。当該マップは、広範囲に多数設置されている鉄塔の中から要点検鉄塔が抽出でき、点検の優先度検討に資する情報となる。
・検査・診断技術の一例として、図2(b)の写真による劣化ランクシステムでは、空撮画像を解析することで相対的な点検の優先度検討に資する情報が得られるとともに、当該インフラでの要点検部位を抽出し塗装などの補修の優先度検討にも活用できる。
これら個別技術またはこれらを組み合わせた一連の健全性診断により、社会インフラの塗装による補修判断、部材の交換等の保守計画策定・更新判断に活用可能である。
*1) 堀他,「送電用鉄塔の腐食等に対する健全性評価技術に関する研究―第Ⅱ期(2015-2018)の成果-」電力中央研究所報告H18009,2019.
*2) CRIEPI-RCM-Era2(通称:NuWFAS長期高解像度気象再解析データ)、風況・海塩粒子輸送解析コードNuWiCC-ST、などを使用

概要 (英文)

Transmission towers built during the years of Japan's high economic growth have gradually aged over the years, and these structures now require the standardization of their efficient repair and rebuild. CRIEPI has embarked a research program to contribute the streamlining of the maintenance for the aged transmission towers, under the cooperation of all Japanese electric power companies. Elemental information and technologies were consolidated in the program's first stage that was conducted from 2012 to 2014. The second stage of the program has built the evaluation methods by combining the elemental technologies.
The methods constructed and developed are to estimate the corrosion amount, as well as to conduct inspection and diagnosis for transmission towers. This report shows the individual features of the methods and how they actually operate against social infrastructure and field data obtained.

報告書年度

2021

発行年月

2021/09

報告者

担当氏名所属

堀 康彦

電力技術研究所 気体絶縁・放電現象領域

谷 純一

材料科学研究所

石川 智已

地球工学研究所

足立 和郎

電力技術研究所

朱牟田 善治

地球工学研究所 構造工学領域

佐藤 雄亮

地球工学研究所 構造工学領域

石野 隆一

エネルギーイノベーション創発センター デジタルトランスフォーメーションユニット

服部 康男

地球工学研究所 流体科学領域

大原 信

環境科学研究所 大気・海洋環境領域

須藤 仁

地球工学研究所 流体科学領域

長沼 淳

材料科学研究所 電気化学領域

布施 則一

電力技術研究所 固体絶縁・劣化現象領域

福冨 広幸

材料科学研究所 構造材料領域

大石 祐嗣

電力技術研究所

キーワード

和文英文
送電用鉄塔 Transmission tower
維持管理 Maintenance
大気腐食 Atmospheric corrosion
点検 Inspection
社会インフラ Social infrastructure
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