電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

※ PDFのファイルサイズが大きい場合には、ダウンロードに時間がかかる場合がございます。 ダウンロードは1回のクリックで開始しますので、ダウンロードが完了するまで、複数回のクリックはなさらないようご注意願います。

電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

L16001

タイトル(和文)

配管破損時影響を考慮した保全重要度評価手法の開発(その1)-保全指標評価手順の提案と流体漏洩挙動計測設備の構築-

タイトル(英文)

Development of Maintenance Significance Evaluation Method Considering Effect of Pipe Failure (Part 1) - Proposition of Evaluation Method for Maintenance Index and Construction of Fluid Leakage Evaluation Facility -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
国内軽水炉プラントの定期検査においては、配管の安全機能の程度によらずほぼ画一的な保全管理(時間基準保全等)が行われているため、配管検査箇所数が欧米に比べて膨大である。従って、プラントの安全性を維持しつつ、検査資源の最適配分に基づく配管保全体系の改善に向けた先駆的な取り組みが必要である。原子力発電所の保守管理規程[1]では、「保全重要度」に応じた保全方式の選択が可能である。同規程では、安全機能の重要度分類のほか、現状では必ずしも定量化されていない工学的な判断(供給信頼性や作業安全等への影響)も考慮事項に含まれている。特に、安全機能の重要度が低くかつ検査箇所数が多い配管系統については、これらの考慮事項を踏まえた保全重要度の定量化を図ることで、保全管理を効果的に改善できると考えられる。
目 的
軽水炉プラントにおける配管保全体系の最適化に向けた保全指標の評価手順を提案すると共に、供給信頼性や作業安全への影響を評価するための主要な実験設備を構築する。
主な成果
1. 保全最適化に向けた保全指標の評価手順
本研究では、安全機能の重要度が低くかつ検査箇所数が多い系統を対象に、保全重要度を「配管破損確率」と「配管破損時影響度」の2軸に基づき定量化することで、その高低に応じた保全方式の選定を可能とする評価手順を立案した。
2. 配管破損時漏洩挙動計測設備の構築
(1) 設備の仕様および機能
「⑤ 配管破損時流体漏洩挙動評価」において実験データベースを整備するために、様々な配管条件下での漏洩挙動が模擬できる実験設備を構築した。本設備では、水と蒸気に対する負圧~2MPaまでの圧力条件設定(温度は常温~210℃)が可能であり、き裂・ピンホール・ギロチン破断といった実プラントで想定される種々の配管破損モードを模擬できる。レーザーや高速度カメラを用いた多角的な光学可視化計測により、漏洩流体の多次元かつ高速の流速データが取得可能である。
(2) 流体漏洩挙動計測
流体漏洩挙動の可視化計測を一部の条件に対して行った。蒸気については、米国原子力学会の規格[2]に記載された流体の拡散範囲を精緻化し得るデータが、水については、国内の内部溢水影響評価ガイド[3]における流体到達距離評価法に対して、実験的な根拠を提供し得るデータが、それぞれ取得できることを確認した。

概要 (英文)

Since several safety-related systems were added to the nuclear power plants (light-water reactors) through the process of the new regulatory requirements, the number of components to be inspected in service, which has been already large, will increase more than ever after the restart. Effective measure will be required to reasonably assign limited resource to maintenance activities. The authors have proposed the evaluation method for maintenance index to aim optimization considering influence of fluid leakage behavior with pipe failure, mainly targeting non safety-related piping and components. In this research, maintenance methods (time based maintenance, condition based maintenance, extraction of maintenance region utilizing the prediction code etc.) are to be selected based on maintenance significance which is evaluated with pipe failure probability and pipe failure impact to surrounding components and operators. To evaluate pipe failure impact, experimental facility which can investigate fluid leakage behavior with pipe failure has been constructed. Using this facility, we can conduct a mock test of flashing and steam flow leakage from various flaw geometries of pipe (crack, pinhole and guillotine break).

報告書年度

2016

発行年月

2017/05

報告者

担当氏名所属

渡辺 瞬

原子力技術研究所 熱流動システム領域

米田 公俊

原子力技術研究所 熱流動システム領域

森田 良

原子力技術研究所 熱流動システム領域

内山 雄太

原子力技術研究所 熱流動システム領域

キーワード

和文英文
保全最適化 Maintenance optimization
配管破損確率 Pipe failure probability
配管破損時影響度 Pipe failure impact
保全重要度 Maintenance significance
流体漏洩 Fluid leakage
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry