電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

※ PDFのファイルサイズが大きい場合には、ダウンロードに時間がかかる場合がございます。 ダウンロードは1回のクリックで開始しますので、ダウンロードが完了するまで、複数回のクリックはなさらないようご注意願います。

電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

N17014

タイトル(和文)

小型模型実験によるケーブル波乗り現象に及ぼす各種要因とメカニズムの検討(その2)

タイトル(英文)

Investigation of various factors and mechanisms on surf-riding phenomenon of cables by small model tests part2

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
従来から、道路下に埋設された管路内の送電ケーブルが道路上の車両通過に伴い、主に車両進行方向に移動する送電ケーブルの波乗り現象が問題となっている。波乗り現象が生じた場合、ケーブルの座屈やケーブル接続部の絶縁性能の低下などの影響が懸念されるため、その対策が必要になる。当所では波乗り現象のメカニズムの解明を目的として、前報では、ケーブルの代わりに金属製の棒を用いた室内小型模型実験を実施し、その実験を対象とした数値シミュレーション手法の開発を行った。しかし、金属製の棒では伸縮性が小さいため、より伸縮性のある模擬ケーブルの実験による高度化が望まれている。
目 的
伸縮性のある模擬ケーブルを用いた室内小型模型実験を行い、その結果に基づきケーブル波乗り現象の数値シミュレーション手法を提案する。
主な成果
1. 模擬ケーブルを用いた室内小型模型実験
前報で開発した室内小型模型実験装置を実現象に近づけるため、模擬ケーブルを金属製の棒(長さ190mm)から絶縁電線(長さ1607mm)に変更するとともに、現場のケーブルの敷設状況を考慮してケーブルの終端部分を模擬タイヤが走り抜ける構造に改造した。実験結果より、ケーブルは入口側端部と出口側端部で挙動が異なり、模擬タイヤの通過の際に各端部が大きく移動することが確認された。また、模擬ケーブルは伸縮を生じながら、模擬タイヤの進行方向に移動していることが明らかとなった。
2. ケーブルの伸縮性を考慮した数値シミュレーション手法の開発
ケーブルと管路の摩擦およびケーブルの伸縮性を考慮した数値シミュレーション手法を開発し、実験データの解析を実施した。その結果、ケーブルの変位について、入口側は概ね実験結果を表現できているが、出口側を過小に評価する傾向にあった。これは、現状では考慮できていないケーブルの初期状態の影響であると考えられる。また、波乗り現象の要因の同定のために、摩擦係数と水平・鉛直加速度に関する感度分析を実施し、摩擦係数を大きくすること、水平・鉛直加速度を小さくすることで波乗り移動現象を低減できることが分かった。
今後の展開
提案した解析手法を実規模実験で検証し、対策法の提案を行う。

概要 (英文)

The mechanism on surf-riding phenomenon of underground transmission cables was investigated by small model tests. The experiments were carried out using IV cables. Furthermore, this study proposed the evaluation method for surf-riding cables phenomenon considering expansion and contraction characteristic. The following findings were obtained from in this study.
(1)Small model test apparatus was improved and it was confirmed that the surf-riding cables phenomenon could be reproduced.
(2)IV cable moves in the direction of tire travel with expansion and contraction.
(3)It is shown that the temperature change while experiment may affect the movement of the cable.
(4)It was confirmed that the test results can be expressed qualitatively using the proposed model.

報告書年度

2017

発行年月

2018/08

報告者

担当氏名所属

吉田 泰基

地球工学研究所 地震工学領域

中村 邦彦

地球工学研究所 地震工学領域

岡田 哲実

地球工学研究所 地震工学領域

関口 陽

地球工学研究所 地震工学領域

キーワード

和文英文
地中送電線 Underground transmission line
送電ケーブル Power transmission cable
波乗り現象 Surf-riding phenomenon
模型実験 Model tests
ばね質量系 Spring mass system
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry