電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

N21002

タイトル(和文)

日射量分類に基づく複数のPV出力短時間予測統合化手法の開発

タイトル(英文)

Development of an integration method with multiple short-term photovoltaics forecasting results based on solar-radiation classification maps

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
太陽光発電(以後、PV)の大量導入下では、出力制御に用いる計画値(PV出力予測値)が大きく外れると、電力会社の需給運用に大きな影響を及ぼす。PV出力予測には、地上観測値、衛星観測値、気象モデルなどに基づく日射量予測技術が用いられるが、現状では日々の日射量の変動を完全に予測することは困難であるため、異なる複数の予測手法を組み合せて予測結果の不確実性を考慮する試みがなされている。これにより、予測の信頼区間の幅やPV出力の上振れや下振れの出力変動の傾向を考慮した運用が可能となっている。一方で、複数の予測手法の精度を踏まえて一つの予測結果を示し、この結果を計画値として用いることが求められている。

目  的
PV出力予測の計算精度を向上させるために、複数の予測結果を客観的に統合する手法を開発し、その適用性を評価する。

主な成果
1. 太陽光発電出力短時間予測統合化手法の開発
開発した手法では、対象エリアの気象場の特徴を考慮してPV出力を予測するために、既開発のひまわり8号の衛星画像から日射量に変換する日射量推定技術により算出・蓄積した日射量分布のデータベースを複数のグループに分類する。そして、過去の予測結果と運用実績、および、対応する日時の日射量分布を用いてグループ別の二乗平均平方根誤差(RMSE)を算出し、各予測手法の重みを設定する。日々の予測計算では、重み付け平均することで、複数の予測結果を一つに統合する。

2. 太陽光発電出力短時間予測統合化手法の適用性評価
開発した手法を気象条件・PV導入量ともに厳しい環境にある九州エリアに適用して評価した。その結果、開発した手法である複数の日射量分類に基づく加重平均の予測結果は、大きく外した事例の予測誤差を低減できることを確認した。さらに、RMSEを用いた本手法の予測誤差は、各モデルや単純平均と比較して誤差が低減すること、分類無しの加重平均と比較して7時30分予測開始(夜明け後、午前対象)では経過時間に対する平均で3%、9時30分予測開始(正午対象)では4%改善することを確認した。

今後の展開
日々の運用に基づいて予測結果を蓄積して通年の精度評価を実施する。この評価結果に基づいて統合化手法を改良することで、計算精度の更なる向上を図る。

概要 (英文)

A method to integrate multiple short-term photovoltaic (PV) power forecasting results into one was developed. The results of daily integrated forecasting are calculated based on the coefficients table and a group of solar radiation maps at the given forecast time. In this process, daily integrated forecasting results are obtained every 30 min and calculated based on the weighted arithmetic mean from three types of PV power forecasting results, and its weighting coefficients table corresponds to the error characteristics of these results linked to 16 classified solar-radiation maps over Kyushu district.

To evaluate this method, we applied it to daily short-term photovoltaic power forecasting over Kyushu district from October to December 2019, comparing its results with observations. It was shown that the developed method selected and used the order of best accuracy from the three forecasting results based on the classification maps, and reduced the significant forecasting errors. Additionally, the developed method indicated 3% (starting at 7:30 AM) and 4% (starting at 9:30 AM) root-mean-square error (RMSE) improvements compared to the non-classified weighted arithmetic mean.

報告書年度

2021

発行年月

2021/06

報告者

担当氏名所属

橋本 篤

地球工学研究所 流体科学領域

門倉 真二

環境科学研究所

野原 大輔

環境科学研究所 大気・海洋環境領域

小島 健輔

システム技術研究所 電力システム領域

中村 浩幸

電力広域的運営推進機関 運用部広域運用センター

キーワード

和文英文
再生可能エネルギー Renewable energy
太陽光発電 Photovoltaics
日射量分布 Solar-radiation distribution
短時間予測 Short-term forecasting
需給運用 Supply-demand operation
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry