電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

R19001

タイトル(和文)

IP保護リレー情報のマイクロ波無線回線への収容方式の開発 -遅延時間変動への対策方式の開発とその評価-

タイトル(英文)

Development of an Accommodation Method of IP-based Power Line Protection System Information for Microwave Communication Systems - A proposal of delay variation compensation method and its evaluation -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
 電力用マイクロ波無線回線は高い信頼性を有するため,基幹系送電線の保護リレー情報伝送用の通信回線として広く利用されている。近年では,系統監視制御システムへのIP系技術の導入が進んでいるが,保護リレー情報伝送にIP系技術を利用する場合には遅延時間変動への対策が必要となる。これに対し当所では,高精度な時刻同期方式であるPTP(Precision Time Protocol)方式を利用して保護リレー装置間を時刻同期させ,遅延時間変動に対応する方式を提案している。有線回線で構成されるIPネットワークに対しては,ある伝送装置あるいは伝送区間での遅延時間(以下滞留時間)を高精度に計測する装置(TC:Transparent Clock)が存在する。TCを利用することにより伝送装置における遅延時間変動の影響を補正し,高精度な時刻同期を行うことが可能であるが,マイクロ波回線ではTCの機能を実現する方式は存在しない。
目  的
対向するマイクロ波無線装置間における滞留時間を精度よく計測し,PTPによる高精度な時刻同期を可能とする方式を開発し,評価する。
主な成果
1. 滞留時間計測方式の開発
 高精度で滞留時間を計測する方法として,対向する無線装置を時刻同期させ,これに基づき1無線区間の滞留時間を計測する方式を開発した。
(1) 対向無線装置間での時刻同期法
 対向する無線装置間では,ビット単位での同期がとれていること,上り/下りの伝送遅延時間は同一であることから,それぞれの無線装置が持つ時刻の情報をやりとりすることにより相互に同期させることが可能である。
(2) 滞留時間の計測法
 相互に時刻同期した無線装置を用い,PTPのメッセージが送信側装置の入力部分を通過した時刻(t1)を計測し,計測時刻を付与する。受信側装置では,出力部分を通過する時刻(t2)を計測しt1との差分(滞留時間)をPTPのメッセージに書き込む。
 本方式で計測した滞留時間を用い,PTPのスレーブ装置にて補正することにより,PTPマスタ装置の時刻にスレーブ装置の時刻を精度よく同期させることが可能となる。
2. 試作による時刻同期精度の評価
 1.に示した方式に基づく装置を試作し,時刻同期精度を評価した。評価の結果,提案方式による同期精度は1 s以下となり,十分な精度を有していることが確認できた。

概要 (英文)

In recent years, IP-based networks are widely used for SCADA communications. However, as long as protective relay communications, no IP-based network is commonly used because the communications are needed to be satisfied strict requirements such as delay time, delay variation and availability. To solve the delay variation problem, the authors have proposed a method to use precision time protocol (PTP) to synchronize relay equipment and to add a precise timestamp to sampled current values. A transparent clock (TC), defined in the PTP standard, can be used to eliminate the effect of the delay variation which happens in IP-based networks and to operate the current differential relay calculation precisely.
Microwave communication channels are common communication channels as well as fiber optic channels for protective relay communications but TC equipment or TC function is not ready for microwave communication equipment. So the authors proposes a method to provide the TC function to the equipment. They have developed experimental equipment and confirmed that the performance of time synchronization can satisfy the delay variation requirement.

報告書年度

2019

発行年月

2020/08

報告者

担当氏名所属

大場 英二

システム技術研究所

小久保 翔太

システム技術研究所 通信システム領域

田中 彰浩

システム技術研究所 通信システム領域

遊佐 博幸

システム技術研究所 通信システム領域

芹澤 善積

電力中央研究所

キーワード

和文英文
マイクロ波無線 microwave radio communication
保護リレー protective relay
インターネットプロトコル internet protocol (IP)
時刻同期 time synchronization
PTP precision time protocol (PTP)
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