電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

R19003

タイトル(和文)

需給構造の変化と電圧制御の高度化に対応したVQCシミュレーションツールの開発 -基本解析機能を実装したプロトタイプ版-

タイトル(英文)

Development of VQC simulation tool corresponding to the changes in supply and demand structure and advanced voltage control -Prototype version with basic analytical function-

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
電力供給において電圧は電力品質を決める重要な要素であり、供給信頼度の維持のために系統各部で無効電力のバランスを取り、適正電圧を維持しなければならない。わが国では、2020年4月から実施される発送電分離や再生可能エネルギー(再エネ)の導入拡大によって需給構造が変化することとなり、経済性と電力品質確保の両立を図りながら無効電力のリソースを確保していく必要がある。当所では、これまでに平常時の電圧維持を評価するツールを開発してきたが、このような将来状況を想定して電圧・無効電力制御(VQC)の高度化に対応した検討ができる機能は持ち合わせていない。
目  的
需給構造の変化と電圧制御の高度化に対応したVQCシミュレーションツール(VQCツール)のプロトタイプを開発し、その有用性を確認する。
主な成果
1. VQCツールの開発
開発したVQCツールは主に平常時を対象としており、連続的な潮流計算により解析を行う(図1)。主な特徴を以下に示す。
(1)発電機の経済負荷配分(EDC)機能および並解列機能
発電機の運転・並解列状況は平常時の電圧維持に対して影響を与えることから、VQCツールにおいても正確に扱う必要がある。そのため、運転中の発電機については燃料費特性に基づくEDC計算を行い、並解列中の発電機については起動時/停止時のそれぞれの出力変化速度に応じて並解列模擬を行う機能を実装した(図1)。
(2)最適潮流計算(OPF)機能および電圧制御機器のモデリング機能
適正電圧の維持のためには、系統全体を見据えた最適な電圧プロファイルと電圧制御の高度化が必要とされる。そのため、開発中のOPF機能から電圧逸脱量最小化などを目的関数として得られた制御指令値を受け取り可能とするとともに(図1)、電圧制御論理をユーザが任意に作成できるモデリング機能を実装した(図2)。
(3)気象データに基づく太陽光発電設備の出力設定機能
再エネの導入拡大に伴い、再エネの出力状況が平常時の電圧維持に与える影響はより大きくなる。そこで、多地点の気象実績データ(日射強度)を活用して、地点別に太陽光発電設備の出力を設定できる機能を実装した(図3)。
2. モデル系統を用いたVQCツールの有用性確認
開発したツールとモデル系統を用いて日間のVQCシミュレーションを実施した(表1)。再エネの導入拡大により一定量の発電機が停止する条件では、電圧制御機器の動作回数が増加するとともに電圧変動が増加していることが確認できる(図4)。さらに、発電機停止による燃料費低減効果と電圧品質確保の両面を考慮しながら電圧制御の検討を行うことができる(図5)。

概要 (英文)

A voltage is one of the most important qualities in the power system. So, it is necessary to balance a reactive power and maintain the voltage within desired operation ranges. From April 2020, an unbundling of the power system will begin in Japan, and the power system will be required to secure and operate a power resource more economically than ever before. In terms of voltage, it is necessary to secure a reactive power resource efficiency and improve voltage control to advanced function to respond to change in demand and supply operation and high penetration of a renewable energy resource (Res). In this study, a new VQC simulation tool has been developed corresponding to the changes in supply and demand operation. The main features are the following three points,
(1) Flexible handling of generator output and operation conditions by using EDC function and Unit Commitment signals
(2) The OPF function can be applied, and the user can make any voltage control model by a combination of control block elements.
(3) Res output can be assumed based on weather datasets.
Using the West10-O/V power system model, simulations were performed under conditions where renewable energy was more introduced. We verified that the action of the voltage control model and EDC functions were appropriately simulated and clarified the possibility of a trade-off between the cost and security of the power system.

報告書年度

2019

発行年月

2020/06

報告者

担当氏名所属

小関 英雄

システム技術研究所 電力システム領域

野本 悟史

システム技術研究所 電力システム領域

キーワード

和文英文
電力系統 Power System
時間軸シミュレーション Time Domain Simulation
電圧・無効電力制御 Voltage Reactive(Q) Control
経済負荷配分 Economic Load Dispatching Control
再生可能エネルギー Renewable Energy
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry