電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

SS21001

タイトル(和文)

放射性廃棄物処分におけるベントナイトの力学-化学連成挙動の実験的検討に関する課題の抽出と解決方法の検討

タイトル(英文)

Review in experimental studies on coupled mechanical-chemical behavior of bentonite for radioactive waste disposal

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
放射性廃棄物処分では,放射性核種の移行抑制を期待し,人工バリア材料としてベントナイトを使用する計画である.処分施設において,ベントナイトには,廃棄体からの発熱,地下水の浸潤,膨潤圧や地圧等による応力変化,間隙水との化学的な相互作用のように,熱的(T),水理的(H),力学的(M),化学的(C)な作用が及ぶことが予想される.安全評価で求められる千年程度からそれ以上にわたるTHMC連成挙動を評価には,実験結果に基づく数理モデルを作成し,数値解析を実施することが重要と考えられる.しかし,THMCの中でもMC連成挙動については,ベントナイトの変質に長時間を要するため,化学的に変質したベントナイトを用いて力学試験を実施した例は少なく,現象の解明やモデル化は十分に進んでいない.これを解決するため,MC連成挙動に関する実験(MC実験)を適切に実施することが重要と考えられる.

目  的
ベントナイトのMC実験に関する文献調査を行うことで, その技術的な難しさを抽出し,MC実験を合理的に実施するための工夫点を整理する.

主な成果
1) MC連成挙動の評価に関する課題の抽出
力学挙動に影響する化学反応として,イオン交換反応やアルカリ性の溶液との相互作用が生じる条件のMC実験に関して,23編の先行研究があった.しかし,力学挙動の変化にのみ着目している例が多く,化学反応の結果生じたベントナイトの変質(表1)に関して着目すべき指標が整理されていない,あるいはセメンテーション等のように,化学反応の種類によっては定量化のための方法がないことが明らかになった.
2) MC実験を合理的に実施するための工夫
MC実験を通じてベントナイトの変質と力学挙動を関連付ける上での難しさとして,①MC実験の長期化,②経時的に変化する固体の状態および液体の化学組成やpHによる力学特性への影響,③圧縮成型供試体中の化学反応の空間的な進行に関する不均質性,④化学反応の重畳による影響評価の複雑性が挙げられた.適切なMC連成挙動の評価にあたり,上述の影響を軽減するため,MC実験の短期化(表2)や,境界条件を一定に保つこと,変質の均質化,化学反応の重畳を回避するための工夫を整理した.

今後の展開
セメンテーション等の影響を反映した材料状態を示すパラメータを抽出するため,変質後のベントナイトの状態を定量化する方法を検討する.

概要 (英文)

Experimental studies on the coupled mechanical-chemical (MC) behavior of bentonite-based materials are reviewed. The existing knowledge and techniques for experiments related to coupled MC behavior is organized, and suggestions for solving experimental issues are illustrated. In the tests using salt solutions, the focus was on changes related to the consolidation and swelling characteristics caused by ion exchange of bentonite/montmorillonite. In the tests using alkaline solutions, the focus was on changes related to the shear and swelling characteristics caused by mineral dissolution, precipitation of secondary products, and mineralogical changes. However, the association between mechanical behavior and the state of the altered specimen because of the chemical reactions has not been clarified. To understand the mechanical behavior of altered bentonite because of a chemical reaction, it is necessary to analyze the solution and the specimen to determine the material state after alteration. To observe the target phenomenon accurately in a relatively short period of time, it is necessary to conduct treatments such as altering the sample or specimen in advance. To model the coupled MC behavior, it is important to parameterize the material state according to the alteration, especially the soil structure formed through a bonded particle by precipitation of secondary products. In the evaluation of long-term behavior, quantifying the state of altered bentonite and confirming the validity of numerical modeling through laboratory tests and analog research is crucial.

報告書年度

2021

発行年月

2022/02

報告者

担当氏名所属

吉川 絵麻

サステナブルシステム研究本部 地質・地下環境研究部門

渡邊 保貴

サステナブルシステム研究本部 地質・地下環境研究部門

横山 信吾

サステナブルシステム研究本部 地質・地下環境研究部門

キーワード

和文英文
放射性廃棄物処分 Radioactive waste disposal
ベントナイト Bentonite
力学挙動 Mechanical behavior
化学的変質 Chemical alteration
セメンテーション Cementation
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