電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

SS22006

タイトル(和文)

取水口土砂流入制御用ベーン工の特性把握と水力発電への適用性に関する水理的考察 -海外の火力・原子力発電所における既往事例の調査-

タイトル(英文)

Investigation of characteristics of vane work for sediment control at water intake and hydraulic consideration of its applicability to hydropower plant - review of case studies at thermal and nuclear power plants -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
海外河川の利水用取水口において,取水口周辺に複数の没水型ベーン工を設置し,取水路への土砂流入量の軽減に成功した事例が複数報告されている.しかし,現地事例が海外かつ火力・原子力発電所であるため,水力発電に係わる国内の技術者が技術的情報を参照しにくい状況にある.また,水力発電用取水口におけるベーン工の実現可能性(フィージビリティ)については不明である.

目  的
ベーン工を用いた取水口土砂流入制御について,既往研究および現地事例を整理する.また,水力発電におけるベーン工のフィージビリティを水理的な観点で検討する.

主な成果
1. 代表的な既往研究および水理設計の概説
取水口土砂対策用のベーン工設計の基となっている室内実証実験によると,ベーン工を二列配置とすれば,河川と取水口における単位幅流量比が0.35以下の条件において取水口土砂流入を大幅な割合で軽減可能であり,単位幅流量比がより大きい条件でも半減程度は可能である.また,ベーン工に没水導流壁を併設することで,ベーン工の効果をさらに高めることができる.

2. 火力・原子力発電所における既往事例の整理
火力・原子力の7地点について,没水導流壁等を併設したベーン工の設置によって,従前に生じていた取水口での土砂堆積,土砂流入によるポンプ不具合等の問題が解消したことを確認した.また,文献から詳細情報を得られた3地点について,現地の水理条件,対策工の設計・施工方法などを整理した.

3. 水力発電におけるフィージビリティの水理的検討
室内実証実験および既往事例のデータをもとに,ベーン工のフィージビリティを評価するための図を作成した.既往知見では,粒径0.15~10mmかつ単位幅流量比0.35未満の条件で低減効果が確認されており,有効な土砂低減対策になりうる水力地点があると推測された.ただし,必要となるベーンの個数および導流壁等を考慮すると,より費用対効果の高い土砂流入制御手法の検討が今後の課題として挙げられた.

今後の展開
水力発電に適した費用対効果の高い取水口土砂流入制御手法を検討する.

概要 (英文)

This report reviews existing studies on the vane work for the sediment control at a water intake from the viewpoint of the potential use for the hydropower. First, we investigate the effect and limitation of the vane through the laboratory test that validated the vane work. The validation test suggests unit discharge ratio of river and intake as an indicator of the effect of the vane work. Next, we review the case study of the vane utilized in thermal or nuclear power plants by summarizing the design, and construction as well as its actual effect. The all sites show remarkable improvement of the sediment ingestion problem after installing the vane. For the potential use of the vane for hydropower, we create a diagram to evaluate the feasibility of the vane work after comprehensively analyzing the validation test data and fields data. The unit discharge ratio and particle size are used as indicators influence the effect and limitation of the vane work. The diagram allows one for easily evaluating the feasibility of the vane for each site. Discussion about the diagram concludes that the vane can be an effective solution for sediment ingestion problem at the hydropower intake where the river-bed level is close to the intake bottom elevation owing to sedimentation. However, further research and development of sediment control method should be required from the viewpoint of the cost performance for use at hydropower.

報告書年度

2022

発行年月

2022/11

報告者

担当氏名所属

太田 一行

サステナブルシステム研究本部 気象・流体科学研究部門

佐藤 隆宏

サステナブルシステム研究本部 研究統括室

キーワード

和文英文
流砂 Sediment transport
取水口 Intake
ベーン Vane
局所洗掘 Local scour
土砂制御 Sediment control
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