電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

SS22007

タイトル(和文)

IPCC第1作業部会第6次評価報告書の要点と温暖化緩和・適応行動への示唆

タイトル(英文)

Key points of Working Group I contribution to the IPCC Sixth Assessment Report and its implications for mitigation and adaptation actions in response to climate change

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背景
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)で科学基盤を扱う第1作業部会(WG1)から、2021年8月に第6次評価報告書(AR6)が公表された。2050年カーボンニュートラル(CN2050)といった温暖化の緩和目標や、温暖化への適応を含む様々な施策は、WG1の知見が前提となる。新しい報告書は、従来と同様、政策決定者向け要約に多岐にわたる多くの情報が盛り込まれ、その根拠となる本体は数千ページにおよぶ。このため、緩和と適応の推進の面で重要な科学基盤がどのように更新されたか必ずしも明確ではない。

目的
AR6で更新された科学基盤を整理し、今後の緩和・適応行動に向けた示唆を得る。

主な成果
1. AR6の主な知見と従来の報告書から更新された点
概要を表1にまとめる。温暖化水準(注1)は現在(2011-20年)約1.1°Cで近い将来(2021-40年)に1.5°Cに達する見通しとなった。観測情報はより精緻に扱われ、将来予測は複数の知見を基に整合的に評価され、全体的に信頼性が増した。地域規模の気温や降水量などの変化は温暖化水準と対応づけて評価された。熱波や大雨等の極端現象も温暖化水準とともに頻度・強度が増す傾向が示された。
温暖化が人間活動によることは疑う余地がないと断定され、極端現象の強化への人為寄与に関する理解も進んだ。気候を安定化するには、温室効果ガス(GHG)排出量を強力・迅速・持続的に削減し、CO2排出量をネットゼロにする必要が明示された。

2. 緩和関連の注目点と示唆
CN2050は2050年にGHG排出量をネットゼロにする目標で、ネットゼロ到達時期は、温度と累積CO2排出量の近似的な比例関係から推定される残余カーボンバジェット(注2)(図1)が目安となる。CN2050で想定される1.5°C水準の場合、残余カーボンバジェットは従来とほぼ同様となる(表2)。この推定には少なからず不確実性が残るが、改訂された個々の知見の裏付けがある。さらに、ネットゼロの意味合いがCO2とGHGを区別する形で明確にされた。緩和行動の科学基盤がより確かなものになったと言える。

3. 適応関連の注目点と示唆
極端現象を含む各種の変化が温暖化水準と対応づけて提示され、リスク評価や適応行動の立案に関わる気候情報の利用者にとって扱い易くなったと見られる。地域の気候情報は、数値データと影響因子の変化傾向をウェブブラウザで閲覧・取得する仕組みが提供され、付加価値も高まったと言える。ただし、地域情報は日本域の詳細に対応していないため、AR6と整合的な日本独自の気候情報が別途必要となる。

概要 (英文)

This report summarizes key updates in the latest scientific basis from the Intergovernmental Panel on Climate Change and explains implications for mitigation and adaptation actions. The current global trend of mitigation actions, such as in reducing greenhouse gas emissions to net zero by 2050, has become more certain with the updates. While there is still significant uncertainties in estimated remaining carbon budget, a constraint on the timing of reaching net zero, the overall consistency of underlying evidences has improved. Regional climate change information for adaptation actions has been arranged with associated global warming levels, leading to consistent risk information between adaption and mitigation. Users can now easily obtain more enriched climate data and new qualitative indexes for decision making through a newly developed browsing tool.

報告書年度

2022

発行年月

2022/12

報告者

担当氏名所属

筒井 純一

サステナブルシステム研究本部 気象・流体科学研究部門

キーワード

和文英文
温暖化水準 Global warming level
気候感度 Climate sensitivity
残余カーボンバジェット Remaining carbon budget
カーボンニュートラル Carbon neutrality
地域気候情報 Regional climate information
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry