電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

Y15004

タイトル(和文)

スマートメータデータを活用した省エネルギーアドバイス自動生成ツール -中小事業所向けサービスのための基本設計-

タイトル(英文)

An automated energy report generation tool based on smart meter data -A conceptual design aiming at information services for commercial customers-

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

近年、スマートメータの導入が進展しており、小口・低圧需要家への本格導入も始まりつつあるが、スマートメータデータの具体的な活用策は必ずしも明確になっていない。当所では、家庭に対してスマートメータデータから自動生成したエネルギーレポートの検討を進めてきた。事業所に対しても、スマートメータデータを活用したカスタマイズされた省エネルギーアドバイスが提供可能になれば、小売電気事業者にとって顧客サービス向上の有力なツールになりうる。そこで、事業所に設置されたスマートメータから得られるデータを用いて、自動的に省エネルギーアドバイスを生成するツールを構築した。特徴は以下の通りである。
提案ツールは、電力需要30分値、属性データ、気象データを基に用途別需要推定と稼働日推定を行う。その上で、事前に用意したアドバイスを全て評価し、重要度が高く各事業所に適したものを選択し、適切な順序に並び替え提示する。
上記の仕組みによって、(1)設備運用の失敗や不具合(フォルト)の指摘、 (2)直感に訴えかける行動変容方策としての「ナッジ」の視点に基づく他事業所との比較情報の提示、(3)用途別需要推定による詳細な消費状況の提示、(4)注意すべき消費傾向の指摘、(5)対策すべき項目と削減額の提示を自動的に行う。これは、専門家が省エネルギー診断をする際の着眼点だけでなく、行動科学の知見を取り入れたことや、それらを踏まえて事業所毎に重要な情報を自動的に抽出して提示する仕組みを取り入れた点で、既存のスマートメータデータ活用例に見られない独自性がある。
また、開発したツールを業務系事業所35件の実需要データに適用し、ツールの動作検証と出力結果の分析を行った。専門家の知識に基づきアドバイス提示の優先度の初期設定値を与えた上で、事業所毎の電力消費特性から優先度を自動調整することで、各事業所に対して適合性や具体性が高いアドバイスから順に提示することができた。

概要 (英文)

While power utilities are about to install smart meters in business sectors, energy conservation in most of the small and medium enterprises (SMEs) are insufficient because of lack of energy managers or knowledge about energy conservation. As a countermeasure to this problem, there exist energy consultation services by experts. Since such services, though, require site visits, it is unrealistic to apply them to eight hundred thousand of SMEs all over Japan. In this respect, we developed a tool that automatically generates energy report to promote energy conservation targeted at business sector, which could help to reduce manpower for energy consultation services. The proposed tool first estimates demand by use and operating days based on 30-min electricity demand data, attribution data, and weather data. Using these estimation results, all the preset advices are tested. Then the most relevant advices for each establishment are selected and compiled as an energy report to be presented to the establishment. The tool enables (1) detecting faults in operation, (2) specifying detailed cause by estimation of demand by use, (3) promoting energy conservation by normative messages based on the concept 'Nudge', (4) presenting basic information about the reality of consumption, and (5) estimating concrete countermeasures and their effect for energy conservation.

報告書年度

2015

発行年月

2016/02

報告者

担当氏名所属

小松 秀徳

システム技術研究所 情報数理領域

木村 宰

社会経済研究所 エネルギーシステム分析領域

西尾 健一郎

社会経済研究所 エネルギーシステム分析領域

向井 登志広

社会経済研究所 エネルギーシステム分析領域

キーワード

和文英文
電力需要 Electricity demand
スマートメータ Smart meter
業務部門 Commercial sector
省エネルギー Energy efficiency
ナッジ Nudge
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