社経研DP
2026.01
市区町村別需要電力量(低圧)を対象とした空間計量経済分析の検討-関東地方を例に-
- エネルギー需要
- 経済・社会
要約
これまでの電力需要分析では、全国もしくは都道府県レベルのデータを用いた分析が行われてきた。しかし、近年では、市区町村別需要電力量(電力調査統計)が公開され、市区町村レベルの分析が行える可能性が出てきている。今後、国土交通省で公開されているメッシュデータなどと組み合わせることで、より詳細な地域別の電力需要分析が行えると考えられる。さらに空間データの収集・公開が進むとともに、空間データを分析する手法もまた、発展を遂げてきた。その中で、本研究では、関東地方の市区町村別電力需要データを例に、空間計量経済学の知見に着目し、空間構造を適切に考慮したモデルを用いることの意義を検証する。
本研究では、市区町村別低圧需要電力量(関東地方(1 都 6 県))と、経済、気温要因などの関係について、分析を行った。モデルの推定結果から、誤差項に空間構造を考慮した空間エラーモデルが最良なモデルとして選択され、空間構造を考慮していないモデルと比べて、モデルの当てはまりの良さを示す指標(モデル選択基準 AIC と BIC)が改善されることが確認された。さらに、市区町村別将来推計人口(2040 年、国立社会保障・人口問題研究所)を用いて、低圧需要電力量の簡易シミュレーションを実施した結果、首都圏とその他の地域で、低圧需要電力量の減少率に明確な違いが見られた。今回の分析結果より、市区町村レベルのデータを活用し空間構造を考慮することで、価格・所得弾力性の推定やシミュレーションによる増減予測について、より適切でより詳細な分析が可能になると考えられる。
免責事項
本ディスカッションペーパーは広く意見やコメントを得るために公表するもので、意見にかかる部分は筆者のものであり、電力中央研究所または社会経済研究所の見解を示すものではない。