電力経済研究

電力経済研究」は電気事業、電力産業に関わる社会経済・制度問題を対象分野とし、課題指向型、問題解決型に関連した研究成果などを掲載し、学術の振興に寄与することを目的とした雑誌です。一時休刊ののち、2015年3月にリニューアル復刊しました。

電力経済研究

No.62(2015年11月)

特集「日本におけるデマンドレスポンス研究の最前線」

特集のねらい

2011年3月の東日本大震災以降、我が国では、デマンドレスポンスはもっぱら需給緩和策としての役割が期待されていた。しかし、今後は、需給状況の緩和が予想され、それに連れて、デマンドレスポンスに対して新たな役割が重視されていくと思われる。それらは、FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)により急速に増加している余剰電力への対応や、電力システム改革を念頭においた、小売自由化後の新サービスとしてのツール、あるいは欧米諸国並みに瞬動予備力市場や周波数安定化市場など、系統安定化対策に市場を創設した場合の資源の供給元としての役割などである。特に、現在、我が国は電力システム改革の途上にあるため、海外での先進事例を学びつつ、我が国に相応しい形で、デマンドレスポンスを今後の制度改革に取り込んでいくことが求められている。

電力中央研究所では、東日本大震災より前からデマンドレスポンスに関する研究に取り組んできた。本特集は、上に述べた国内外のデマンドレスポンスを巡る動向についての概観と、当所のデマンドレスポンスに関するこれまでの研究の経緯や内容について紹介する記事、および様々な研究成果に関する論文および研究ノートから構成される。本特集が、読者にとってデマンドレスポンスに関する一貫した理解を深めることの参考になれば幸いである。

2015年11月
編集責任者
電力中央研究所 社会経済研究所
永田 豊

総説

デマンドレスポンスの国内外の動向と当所の取り組み …1

 

研究論文

ピークタイム・リベートによる家庭用需要家のデマンドレスポンスの効果
-北陸地域での実証データに基づく分析- …9

 

テナント事務所ビルにおけるスマート節電実証試験 …25

 

研究ノート

家庭部門における行動変容型ピーク抑制策
-見える化システムと料金体系を組み合わせた事例- …35

 

スマートメータデータの活用方法 …46

 

太陽光発電大量導入時の電圧上昇対策に関する考察
-無効電力補償とデマンドレスポンスの比較- …55

 

アンシラリーサービス型デマンドレスポンスの日米における取組み状況 …64

 

研究トピックス紹介

九州電力におけるデマンドレスポンス実証試験 …72

 

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